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退職金の見直しは役所にとっても重要事項

大阪市ヤミ退職金・年金訴訟 20億返還で和解

 大阪市が互助組合を通じて職員に支給していた「ヤミ退職金・年金」の保険料に公金が使われたのは違法として、市民グループ「見張り番」が、互助組合に約180億円を市に返還させるよう平松邦夫市長らに求めた住民訴訟の差し戻し審は29日、20億円の返還を条件に大阪地裁(田中健治裁判長)で和解が成立した。大阪市のヤミ退職金・年金をめぐっては3件の訴訟が起こされていたが、今回の和解ですべて終結した。
 大阪市職員が退職する際に、公的な退職手当や共済年金とは別に支給されたのがヤミ退職金・年金。市は平成5年度から、互助組合などが生命保険会社と契約する形で制度を開始。保険料の7割を公費から支出しており、市の職員厚遇の象徴的存在だった。
 しかし、批判を受けて17年度に制度は廃止。それまでに支出された公費約370億円のうち、住民監査請求により約132億円が市に返還された。原告側によると、現在の職員互助会が当時の互助組合から引き継いだうち、公費支出分の残金16億5千万円も返納される。原告側は17年6月に提訴。1審大阪地裁は19年7月に請求を却下したが、2審大阪高裁が20年5月、1審判決を一部取り消し、審理を差し戻していた。  平松邦夫・大阪市長の話「少しでも早く解決することが市民の利益にかなうと判断した」
 大阪市職員互助会の穂積慶輝(けいき)執行理事の話「今後、一般財団法人に移行するに当たって訴訟リスクを回避しておく必要があり、和解に応じた」

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 ■原告側「抑止になれば」
 和解成立後、原告と弁護団は大阪市内で記者会見。「見張り番」代表世話人の松浦米子さん(74)は「6年かかってやっと和解にこぎつけた。大阪市民にとって望ましい結果だ」と笑顔を見せた。
 国からの指導を受けていったんは制度を廃止したにもかかわらず、互助組合と保険会社を介在させて支給を続けたことについて、「驚くべき悪質な手法がとられた背景には、大阪市のお手盛り体制やコンプライアンス(法令順守)の欠如がある」と指摘。「今回の和解を機に、二度とこのような違法行為を起こさないよう市民に誓約してもらいたい」と述べた。
 弁護団の植村弘樹弁護士も「市職員による違法な公金使用は民主主義の破壊につながる許せない行為だ」としたうえで、「今回の和解によって、同種行為の抑止につながるのではないか」と話した。

[産業経済新聞社 2011年9月30日(金)]