退職金に関する法令・判例<1>
日々現場で起きている問題に、裁判所がどのような判断を下しているかを学びましょう。
【退職金規程の不利益変更の効力を否定した判例】
大阪日日新聞社事件
(大阪高裁判決 昭和45年5月28日)
請求内容
経営不振等の状況もあり、従来「現職最終月の基準賃金総額」を退職金算定基礎額としていた退職金規程を改訂して、「現職最終月の基本給のみ」を算定基礎額としたので従来どうり支払ってほしいと請求。
判例主旨
退職金の算定基礎額を基準賃金総額から基本給額に変更したことについて、経営不振の事情があってもとうてい合理的とはいえないとした。
裁判所は、使用者が退職金に関する就業規則を変更し、従来の基準より低い基準を定めることを是認し、その効力が全労働者に及ぶものとすれば、既往の労働の対償たる賃金について使用者の一方的な減額を肯定するに等しい結果を招くのであって、このような就業規則の変更は、たとえ使用者に経営不振等の事情があるとしても、前記労働基準法の趣旨に照らし、とうてい合理的なものとみることはできない。
右就業規則の変更は、少なくとも変更前より雇用されていた労働者に対しては、その同意がない以上、変更の効力が及ばないものと解するのが相当であるとし、変更は変更前から勤務している労働者には及ばないとした。
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