退職金の制度 Q&A 相談コーナー
【失敗事例 6】
前払い制度を採用して退職金を廃止
社長 弱ったことになりました。
北見 何ですか?
社長 実は業績不振で、赤字続きなので、人員整理をします。それを社員に説明したら反発を買っています。
北見 なるほど。希望退職でも募ったのですか?
社長 はい。しかし、誰も応募がありませんでした。
北見 どんな内容ですか?
社長 はい、給与の2カ月分を払うから辞めて欲しいと申しました。
北見 つまり「退職金+2カ月分の割増」という意味ですね?
社長 いいえ、当社は5年前に退職金の制度を廃止しました。そして、その時点で退職金をいったん支払いました。その後は毎月「退職手当」ということで、給与に5000円を足して払っています。
北見 そうですか-
社長 だから当社としては退職金に関しては既に清算済みという立場です。だから割増の部分だけ払って辞めて欲しいわけです。
北見 社員が納得しますかね-
社長 おっしゃる通り、納得してくれませんでした。退職手当といっても、毎月の給与の一部だというのです。既に食ってしまってないというのです。
北見 それはそうかもしれませんね。退職金を廃止して、毎月の給与に加えるのは、北見昌朗は反対です。それでは、社員との別れを円満にできないからです。退職金というのは、イザという時に清算するためのものです。だから退職時に払う方が良いに決まっています。
社長 今から思えば、その通りでした。