退職金に関する法令・判例<6>
日々現場で起きている問題に、裁判所がどのような判断を下しているかを学びましょう。
【退職金規定の不利益変更の効力を否定した判例】
アスカ事件
(東京地裁 平成12年12月18日)
請求内容
昭和45年に入社し平成12年に退職したが、使用者は平成12年2月に退職金規程を改定したため、退職金が従来の3分の2~2分の1に減少することとなった。従業員は旧規定により支払うべきだと請求した。
判例主旨
会社の経営環境は良好ではなく(退職金規程の改定は関連会社への出向を円滑に進めるためだった)、従業員のほとんどは規定改正に賛成しており、当事者の退職金額は関連会社の1.5倍~2倍であり世間的にいっても遜色なかったとはいえ、これらを勘案しても、旧規程を適用することを覆す理由にはならないとして、裁判所は、請求額全額の1,035万5千円を支払うよう命じた。合理性がない。
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