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退職金に関する法令・判例<2>

日々現場で起きている問題に、裁判所がどのような判断を下しているかを学びましょう。

【退職金規程の不利益変更の効力を否定した判例

ダイコー事件

(東京地裁判決 昭和50年3月11日)

請求内容
労働者が退職に際して、就業規則の一部をなす退職金規程(旧規定)に基づき受領する権利を有する退職金の未払分(旧規程による算定額から新規程によって算定され支払を受けた額を除いた分)の支払を請求。

判例主旨
従来は会社が支給していたものを社外退職金制度に切り換えたことによって、退職金額が旧規定より大幅に下回る結果となった変更について合理性を否定した。
退職金算定方法につき、従来「従業員の退職時の基本給に、勤続期間に応じた支給率を乗じた額とする」と定めていた退職金規程を、「中小企業退職金共済事業団との間に締結された中小企業退職金共済法に基づく退職金共済契約に基づく掛金月額と掛金納付月数によって、右事業団が算出した額とする」と改訂した結果、原告労働者の退職金額が旧規程による額に比べ4分の1程度になった。

裁判所は、「新規程がすでに旧規程のもとにおいて雇用され、その退職時には当然旧規定に従った退職金の支払が受けられるものとしてきた従業員の期待的利益を剥奪しても足るほどの合理性があるものと認めるに足りる資料はない。

・・・従って原告の退職金の計算については原告の同意がない限り前記のように原告に有利な旧規程が適用されるものと解するのが相当である」とした。

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