退職金に関する法令・判例<3>
日々現場で起きている問題に、裁判所がどのような判断を下しているかを学びましょう。
【退職金規程の不利益変更の効力を否定した判例】
御国ハイヤー事件
(最高裁二小判決 昭和58年7月15日)
請求内容
退職金規定を廃止し、それまでの就労期間分の退職金は支払うがそれ以降は支払わない旨の就業規則改訂について、不利益変更の代償となる労働条件が提供されていないので改定が無効であると主張した。
判例主旨
原審は、本件退職金支給規定は就業規則としての性格を有しており、右の変更は従業員に対し同年8月1日以降の就労期間が退職金算定の基礎となる勤続年数に算入されなくなるという不利益を一方的に課するものであるにもかかわらず、上告人はその代償となる労働条件を何ら提供しておらず、また、右不利益を是認させるような特別の事情も認められないので、右の変更は合理的なものということができないから、被上告人に対し効力を生じない、と判断した。
以上の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。
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